Interview インタビュー

ひとつひとつステップアップ、憧れの認定看護師を目指して

看護課 看護師 北原 麻友美

新たな場所で「在宅医療」という新たな挑戦

2022年4月に夫の転勤で高知から上京してきました。初めての土地なので生活基盤を整えて、と思っていたらあっという間に10月に…。やっと落ち着いたので仕事を探そうと思い、ネットで検索をしました。高知では4年間病棟の看護師として働いていましたが、在宅医療の経験を積みたかったので、東京で訪問診療を行なっているクリニックの求人を探しました。「訪問診療の看護師」の募集を見つけて、家からも近く、経験年数の規定がない点や「人に寄り添い、未来に挑む」という理念に惹かれ、ホームページを見て興味を持ち応募してみたのがときわでした。

「訪問看護師」と「訪問診療の看護師」、どちらにするか少し悩みましたが、すべて一人で判断し看護や支援、医療的ケアを行う訪問看護師だと、経験年数の短い私では難しいのではないかと感じていました。ときわは「訪問診療」で、看護師としての経験年数が短くても指示をくれる医師が強い味方としているため、大きな安心感がありました。また、訪問看護では患者さんのご自宅までの運転も看護師自身で行なうことが多いですし、引っ越してきたばかりの私には土地勘もなかったので、在宅医療の仕事に就くのは難しいかなと感じていましたが、ときわには運転をしてくれる医療アシスタントがいると知り、その点もときわに決めた理由の一つでした。

 

一歩ずつ進んだ先の「看護師」との出会い

私が看護師を目指したきっかけは、ある一人の「看護師」さんとの出会いでした。私は最初から看護師を目指していたわけではなく、高校を卒業後は、エステティシャン、その次に医療事務をしていました。当時、美容への憧れからなんとなくエステティシャンを仕事に選びましたが、思い返せば診療情報管理士など、医療の仕事が気になっていた時期がありました。そのため、実際エステティシャンになってみたものの、やはり医療業界に行きたいという気持ちが強く、医療事務の資格を取りました。

総合病院で医療事務をしていた時、地域医療連携室の師長で、緩和ケア認定看護師の資格をもっている方がいました。その方が、私が看護師を目指すきっかけとなる「看護師」さんです。

ある時、総合病院の消化器内科の先生が実家のクリニックを継ぐためお辞めになる際、クリニックが私の家から近いこともあり、医療事務として働かないかとお声がけいただいて、職場を移りました。そのクリニックに師長も看護師として入職され、また一緒に働き始めました。

クリニックでは、一般診療の会計をやっていたのですが、たまたまその看護師さんから「がん末期の患者さんの診察に行くから会計に付いてきてくれない?」と言われ、患者さんのお家に伺う機会がありました。がん末期の患者さんは疼痛コントロールをしている状態で辛いはずなのに、その看護師さんが関わることで笑顔になられたり、ご家族の体調を気遣ったり、丁寧な説明をしていたりと、患者さんやご家族との関わりをみて信頼関係があるように感じ、こんな看護師さん素敵だなと思い、そこから自分が医療事務をしていることに物足りなさを感じはじめ、「看護師」の仕事に興味を持つようになりました。

しかし当時29歳、看護学校に行くとはいえ、学業から離れて10年が経っていたので学力の不安もあり、学費がかかるため、とても迷いました。でも、その看護師さんに「まだ、看護師になりたいっていう気持ちがあるなら、ここの学校が社会人経験者も多くて合格はしやすいと思うから受けてみたら?」と声をかけてくれ、夫からも「行くなら今がいいんじゃないか?」と背中を押され、入学試験を受けてみたら合格しました。もしかすると、周りの後押しがなかったら、1~2年先延ばしになっていたか、そのまま看護師になることなく医療事務の仕事を続けていたかもしれません。周りの人たちの言葉が心強く、タイミングもよかったんだと思います。

 

今までの医療現場と、ときわの現場

ときわに入職した時に、パソコンとiphoneの支給があり最初は驚きました。これまで病棟にいたときは電子カルテが主流で、紙カルテのところも経験しましたが、ときわでは電子カルテはもちろん、ビジネスチャットを導入していたり、最新のやり方を取り入れているのかなと感じました。ビジネスチャットは使用したことがなかったので、まだ使いこなすのが大変で、メッセージがたくさん来ると慌ててしまうこともありますが少しずつ慣れている段階です。多くの病院では問い合わせの電話が多く、対応しきれていないというのもよくある話ですので、チャットを使用して伝達したり、すぐに相談できるのは良いことだと思います。

また、ときわは、私がこれまで経験した病棟と比較して、医師も看護師も、患者さんと話す時や職員同士での会話も穏やかな印象です。テキパキしているけれど口調は優しく、表情も穏やかで、私も見習わなくてはと思っています。私が看護師を目指すきっかけになった看護師さんも穏やかな方でした。看護師になり急性期病棟で働いている時は、看護師がきつい印象だと感じていましたし、患者さんと関わる時間がなかなか取れないこともあり、やはり私には急性期の看護師は向いていないのかなと思っていました。その点、ときわの医師や看護師は、患者さんやスタッフの誰に対しても親身に穏やかに話をしますし、病気だけではなく患者さん、ご家族の生活までを含めてみています。その姿をみるたびに、在宅医療っていいなとつくづく思います。

 

在宅医療の良さを体感し、実践を重ねる

在宅医療ではその方のお住まいに伺うので、訪問する時の挨拶や礼儀を心がけています。また、先生が話していることに対して、患者さんがどんな顔をして聞いているか様子を見ることができるように患者さんと先生の表情が常に見えるポジションをとるようにしています。入職直後に上司からそのようなアドバイスをいただいて、診療に入るときは常に気をつけています。医師から説明をされてもお年寄りの方は理解しづらかったり、医療者側には当たり前のことでもご家族には通じなかったりすることもあるので、橋渡しをする意識をもって、きちんとわかりやすく伝えていきたいです。

ときわに入職するまで、在宅医療では、治療や検査の選択肢が少なく、輸血や腹水穿刺(ふくすいせんし)などをするイメージはなかったのですが、ときわではこれらの医療行為やエコーなどの検査も行っていて、大きな検査はできないものの病院と大差なく、本当に通院が難しい方でも自宅で継続して、しっかりとした治療が受けられるということが分かりました。

また、急性期病棟の看護師をしていた時は業務に追われ、患者さんとお話をする時間を取ることが難しく、本当はもっとお話を聞いてあげたいなと思いながら働いていました。私は人の話を聞くことが好きなので、今、患者さんとゆっくりお話をして時間を過ごせていることが嬉しいです。患者さんの病気や症状に限らず、日常のお話を聞くことができるのが、在宅医療の良さだと感じています。患者さんがご家族と関わっている時の表情を見ることができますし、小児患者さんのお家ではお母さんやご家族がすごく頑張っているのも伝わってきます。

そして、今、在宅医療の看護師として学んでいることは自分自身の人生の選択にも影響しています。実際、夫の祖父母は在宅で看取りをしました。そのような経験からも、最期まで家で過ごしたいという本人の想いや、住み慣れたところで一緒にいたいという家族の想いを叶えてあげられるのは在宅医療しかないのではと思っています。自分の家族に対しても病院に入院したり施設に預けるのではなく、本人が望めば、最期まで家で過ごさせてあげたいと思いますし、私も最期はそのような医療を受けられたら良いなと思います。

 

在宅医療の経験を積み、認定看護師を目指す

将来は、看護師を目指すきっかけとなった看護師さんのような認定看護師になりたいです。その為にまずは、在宅医療の看護師として在宅医療の仕組みやサービスについて知識をつけたいと思っています。また、在宅医療に関わる職種がどのような働きをし、患者さんの在宅での生活をどのようにサポートしてるのかをしっかり学びたいと考えています。まだ、看護師としての経験年数が少ないので、対応したことのない症例や緊急時には悩むことがあります。そのような場合はチャットを利用して、先輩方に質問をしながら対処しています。聞いたこともないような病名があったり、特に、これまで成人の看護しか経験がなく、小児の領域はわからないことが多いので、子供の病気に対するお母さんの受け止め方や患児やその兄弟との関わりに、自分がどういう風に介入していけばいいかという部分はまだ手探りです。これから色々な経験をして、技術や知識を身につけ、患者さんやご家族との関わり方も学んでいきたいです。緩和ケア認定看護師、がん専門看護師になることが最終目標なので、在宅医療の現場で経験を積み、いずれは学校に進学して必要な知識を勉強し、更にステップアップしていきたいと思います。

 

 

北原 麻友美 看護課 看護師

北原 麻友美 看護課 看護師

高校卒業後、エステティシャンの道へ。医療への興味を捨てきれず、資格を取得し医療事務に転職。その後、ある看護師との出会いから看護師を目指し看護学校に入学。正看護師国家資格を取得後、急性期病院の病棟看護師として勤務。2022年10月より医療法人社団ときわへ入職し、在宅部門の看護師として勤務。