Interview インタビュー

自らの夢を見つめながら、仲間の働きやすさを求めて日々邁進

オペレーション部 業務改善課 山口 純平

自分と似た状況の子供達を助けたい、「訪問診療」の可能性に出会う

私がときわに応募し、働き始めたのは「訪問診療」という医療の「かたち」に興味を抱いたのが理由でした。私は高校を中退し、金属加工工場での事務や、エンジニアを派遣する会社でエンジニアのような仕事をしていました。高校を中退したのは、端的に言えばうつ病と診断されたのですが、個人的には何だったのかよくわからず、ただその時の自分は「もう学校に行きたくない、行けない」という状態でした。その後、マイクロチップを製造する工場で働いている時に東日本大震災が起きました。

震災による被害を目の当たりにし、「今自分にできること、やりたいことをやろう」と思い立ち、まず大学入学資格検定(現在の高校卒業程度認定資格)を取得しました。そして、自分自身が高校生の時に学校へ行けなくなった経験から、当時の自分と同じような状況にある子供達の力になり、中高生に向けたカウンセリングをおこなったり、カウンセリングを身近なものとして利用してもらえるようにしたいと思い、スクールカウンセラーを目指そうと大学へ進学しました。教員免許を取得し、教員になるのが一番の近道と考え、教育学部で英語の教員免許を取得するための勉強と、心理学部での講義を履修し、同学部を卒業するのと同じだけの単位を取りました。スクールカウンセラーになるためには大学院を修了していなければならず、心理学の大学院へ進み、大学に入学した23歳から大学院を修了するまでの6年間は猛勉強し、ひたすら心理学についての論文を書く日々でした。

 

しかし、大学院修了後、受験したスクールカウンセラーの試験は不合格、教員採用試験も落ちてしまいました。生活をするためにアルバイトを探す中で、ときわのドライバーの求人を見つけ、患者さんのお家に伺って診察を行う「訪問診療」というものの存在をその時初めて知りました。自分自身も高校時代、実際に感じていたことですが、うつ病という診断をされた時に、家から外に出られないとか、カウンセリングを受けに行くこと自体に抵抗があるという子がすごく多く、訪問診療のように「こちらからその子達のところに行くことはできないか」という思いはずっとありました。今でこそzoomなどのオンラインツールを使ってカウンセリングを行う方法もありますが、やはり対面で話すことを大切にしたいという気持ちがあり、「訪問診療」という医療の「かたち」がとても興味深く感じられ、また運転も得意だったので、ときわへの応募を決めました。

 

 

医療アシスタントから業務改善チームへ

ときわには当初、医療アシスタントのアルバイトとして入職し、診療チームのドライバー業務や事務作業をしていました。日々の事務作業において、私がパソコンが使えたことから少しずつ業務効率化を実現できるようなシステム作りを頼まれるようになりました。そこから業務改善チーム(現・オペレーション推進課、業務改善グループ)が発足し、私はルート管理など、診療チームの業務改善をおこなうようになりました。ルート管理は主に、訪問診療の効率的な移動ルートを作成します。業務改善チーム発足前は、効率の良いルートづくりに苦戦していて、先任2名が挫折した業務でしたので、「山口君、大丈夫?」と周囲から心配されていました。効率の良いルートを組まないと新しい患者さんを増やすことができないので、いかに当時のルート状況を改善できるかという課題がありました。実際、頭を悩ませて定期的に業務が辛くなる時期はありましたし、アルバイトにしては責任の重い仕事でした。しかし一方で、やりがいのある仕事に携われることは素直に嬉しく、患者さんや他の職員からの感謝の言葉は励みになっていました。効率化と言っても、単純にご自宅が近い方同士でルートを組めばいい、というわけではなく、その方の生活状況や他の介護サービス利用日、訪問に行く医師など、訪問できる日や時間、状況をパズルのように埋める必要があり、且つ効率の良いルートの作成だけでなく、それをシステム化する必要がありました。そこで、住所と場所、午前や午後などの条件を入れると、患者さん宅が近い順にルートが出てくるというシステムを作成し、利用することにしました。

 

ルート管理の他にも、「往診マップ」を作成し、マップをみれば今日誰がどこにいくか、今誰が近くにいるかを可視化できるようにしました。このシステムにより、往診依頼があった際に近くの診療チームへ往診の指示をスムーズ出すことができたり、翌日の診療準備の際にも活用していただいています。「業務改善」という名の通り、これまで述べたこと以外にも、私自身は専門的な関数を用いた資料を他部署から依頼されて作成したり、システムの開発や導入を中心とした業務をおこなっています。現在は、組織編成が行われ、業務改善チームがオペレーション推進課業務改善グループとなり、仲間が増え、これまで取り組んでいた訪問診療に係る業務改善だけでなく、外来部門(サルスクリニック)の業務改善も行っています。仲間が増えたことで、今までより、もっと広い視野で業務の改善を行い、法人全体をより良くしていくことを目指しています。

 

 

「ありがとう」を生む、経験が活きる業務改善の仕事

ルート管理などをしていると間接的に患者さんに関わったり、直接的には医師や看護師、相談員など、内外の多くの人と関わってきました。様々な人と関わり、その間の調整がうまくできた時や患者さんから感謝の言葉をいただいた時が一番嬉しかったです。今でもルート改善の業務においては、診療ルートを調整することで患者さんやご家族が「学校に行かせたい」「デイサービスに行きたい」という願いを叶えられた時は喜びもひとしおです。現在は社内からの改善依頼が増え、診療チームや相談課など他の職員からの「このような機能がほしい」という要望に応えられた時は大きな達成感がありますし、「すごく便利になった」「ありがとう」と言われたときなど、人に喜んでもらって感謝されることが嬉しいのはルート管理を任されていた頃と変わっていません。それが仕事のやりがいに繋がっています。一方で改善が難しいケースもあり、大変さとやりがいは表裏一体だと思っています。これまでの仕事を顧みてみると、一番最初に覚えた関数は今でも使っていますし、プログラミングやパソコンを使った仕事の概念に触れたことも役に立っているなと思います。様々なことを経験してきたことが、現在の仕事にも繋がっています。

 

 

法人全体を俯瞰し、広い視野で改善を目指す

ときわに入職した頃は、法人が立ち上がってすぐの時期で人数も少なく、やることが明確な反面、できることも限られていました。しかし現在では職員も増え、法人として、在宅医療においてもできることがどんどんと広がり、医療業界ではまだまだ普及しているとは言い難い、RPAやSlackなど先端のITを導入してDX化も図られています。

 

私自身、入職当初は目の前の仕事でいっぱいいっぱいだったのが、色々な部署の人と関わる中で全体を見られるようになり、「こうした方がいいんじゃないか」という風に俯瞰的に考えられるようになったことが一番の変化です。これからは、法人全体の底上げができるよう、視野が広がった分、今まで見えていなかった部分を改善していきたいと思っています。人によって技量の差や幅があるのは当たり前なのですが、例えばITツールを多く取り入れている当法人では、ビジネスチャットがどうしても使えないとか、システムがどうしてもわからないという理由で辞めた人も見てきたので、そういう人が減るようにしていきたいなと思っていますし、具体的な行動に移していきたいです。

また個人としては、スクールカウンセラーになる夢も大切に、今後も諦めずチャレンジしていきたいと思っています。

山口 純平 オペレーション部 業務改善課

山口 純平 オペレーション部 業務改善課

教育学部、心理学大学院を卒業・修了。訪問診療に興味を持ち、2018年医療アシスタントとして医療法人社団ときわに入職。その後、業務改善チームに異動し、法人内の業務効率化に取り組む。現在、オペレーション推進課業務改善グループ所属。認定心理士資格、教員免許所持。